2023年3月に読んだ本メモ

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「樽/F・W・クロフツ、大久保康雄」
 ロンドンの波止場で積み荷の樽から金貨と女性の死体が発見された事件について、第一部ではロンドンのバーンリー警部が、第二部ではそこにパリのルファルジュ警部も加わって捜査を行い、とある人物を容疑者として逮捕する。第三部では容疑者の弁護の観点から私立探偵のラ・トゥーシュが捜査し直し真犯人を明らかにする。
 全体をとおして探偵役が証拠を集めたり、分析したりする様子が淡々と描写される印象だったが、終盤でラ・トゥーシュと真犯人が対峙するシーンから一気に緊張感が高まり、衝撃的な結末を迎える。
 第一部・第二部にて活躍したバーンリーとルファルジュが、第三部から最後まで全く出番がないのは少し不憫に思った。
 なお本作の関連として、鮎川哲也の『黒いトランク』という作品を Vivaldi Social にておすすめされたので近々読んでみようと思う。
(記事タイトルは本作より。現代では一般的に「危ない」と書くところを昔は「危い」と書いたようで、うっかり「あぶい」と読んでしまって面白かったという話)

その他

  • 決定版 2001年宇宙の旅/アーサー・C・クラーク、伊藤典夫
  • ウィンター殺人事件/S・S・ヴァン・ダイン、宇野利泰
    • ヴァン・ダインの遺作。ヴァンスによる蘊蓄、美術批評、地方検事マーカムとの掛け合いなどがなく、他のファイロ・ヴァンスシリーズとは少し趣が異なるように感じた
  • ローマ劇場毒殺事件/エラリー・クイーン、石川年
    • 「たまか・ひえろ」って誰
  • 山椒魚戦争/カレル・チャペック、栗栖継
  • 三体X 観想之宙/宝樹、大森望、光吉さくら、ワン・チャイ

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